ウエイトリフティング における ルーティン とは


Start Position

photo by hookgrip

今日は ルーティン とからめた ウエイトリフティング における心理学について。

今ラグビーの五郎丸選手のキック前の動きなどで、話題を集めているスポーツにおける ルーティン

”ルーティンとは、何かしらの目的を達成する前に行う、ある一定の動作/習慣”

試合などのものすごい緊張する場面になっても、練習の時からいつも行っているルーティンを行うことで集中力を保ち、自信を高めることができるといいます。試合の日にお気に入りの服を着たり、決まったものを食べることなどもルーティンに含まれますが、今回はパフォーマンス直前に行われる プレ・パフォーマンス ルーティン について考えてみます。

 


私の普段のルーティンといえば、起きてコーヒーを飲み、朝はヨーグルトとバナナを食べるくらいですが、ウエイトリフティングの試合でスナッチやクリーンを行う直前の動きにも、確かなルーティンらしきものがあります。

そのユニークな動きを他の選手含め集めたものが以下の動画です。

このバーを引き出す寸前の動き、小さかったり大きかったり、短かったり長かったりとそれぞれ違っていて、そこに注目してみるのも面白いかもしれません。一流選手になればなるほど、このルーティン的動きは固定、そして洗練されていく気がします。

このプレ・パフォーマンス ルーティン は、中には何も考えず自然に行っている人もいますが、多くの場合は意識的に作りあげるべきです。一度作って、考えずにできるところまで落とし込んだらやっと試合でも使えるものになります。

そこで、「ウエイトリフティングにおけるルーティンを形作るときに重要なものは何か」について、自分なりに考えてみました。

 

①目線を確認する


focusまず目線です。

競技中の目線をあらかじめ決めておくことは大切です。目線がぶれているとバランスも悪くなるし、目線によって姿勢も変わってしまうためいつも通りのパフォーマンスができなくなる可能性があります。

目線と意識は強くつながっていて、目線がいろいろ移ると集中力までも落ちてしまいます。初めての試合や、緊張する環境でキョロキョロしてしまうのは多少はしょうがないですが、目線を決めることで集中力を取り戻すことができます。

特に目線を決めないというトップ選手も多くいますが、個人的にはある程度の目線の高さは決めておくべきだと思います。

 

②呼吸のパターンを知る


次に呼吸です。

ルーティンというと動きばかりに目が行きがちですが、良いルーティンには常に一定の呼吸パターン(回数や長さ)が含まれています。呼吸と精神状態は密接につながっていて、精神状態が変われば呼吸が変わり、逆に呼吸を変えれば精神状態も大きく変わります。

ウエイトリフティングでは、あえて呼吸を早めて興奮を高める人もいれば、深く呼吸して落ち着いてリズムをとる人もいます。私の場合スナッチでは呼吸は遅めに、クリーン&ジャークでは少し早めにするとそれぞれに最適な精神状態になれると感じます。

”スナッチは集中力、クリーン&ジャークは根性。”

この言葉にもあるように、それぞれ種目の最適な興奮レベルというのは違うようなので、良く自分を観察するのが大事だといえるでしょう。

ウエイトリフティングでは、最適な呼吸により腹圧を高める(体幹を安定させるため)ことも成功のカギを握るので、呼吸は本当に大切です。

 

③動きのパターンを作る


これは言うまでもないですが、パフォーマンスを行うために最適な動きを選ぶことが重要です。例外はありますが、このプレ・パフォーマンスルーティンは短ければ短いほど効果が高まりその後の動きの精度を高めると言われています。

ルーティンの精神的に見る重要性はもちろんですが、ウエイトリフティングで行うパフォーマンス直前(バーを床から持ち上げだす直前)のルーティンには他にも意味があります。

詳しい説明は省略させてもらいますが、人間の筋肉は完全にリラックスした状態から縮むよりも、あらかじめ伸ばされた・または緊張した状態からの方がより大きな力を発揮することができます。上の動画での動きはその筋肉の特性を活かしたものだとも言えます。

また、適切なスタートポジションは長く維持すると大変で疲れてしまうので、このようにルーティン的な動きからバーを動かしだすまでを、一連の動きで行っているのかもしれません。

 


focus

ウエイトリフティングにおける、緊張状態で最高のパフォーマンスを行うための プレ・パフォーマンスルーティン の行い方は以上ですが、それと同時に行うと有用な心理学のテクニックを紹介します。

それは、キュー・ワード(Cue Words)を使うことです。

キュー(Cue):出来事の始まりや取るべき行動を促すためにする合図。英語で「手がかり」「合図」を意味する。”

競技を行う直前や、合間に使われる短い言葉で、例としては「胸を張る」や「バーは体の近く」などの具体的なものから、「リラックスして」や「全部出し切れ」のように精神的なものまで多くあります。

他のスポーツと比べて外部からの影響(他の選手の動きや音など)が少ないウエイトリフティングでは、一番の敵は内面、自分との闘いです。緊張してパフォーマンスが落ちたときのことを振り返ると、自分の内面では以下のようなことを考えていたはずです。

  1. 「なぜ失敗したんだろう」 など過去のことを考えているとき
  2. 「これを失敗したら/成功したらどんなことが起きるだろう」 など未来のことを考えているとき
  3. 周りの目、もしくは競技と全く関係のないことを考えているとき
  4. 細かい体の動きを必要以上に考えてしまうとき

皆さんも心当たりがあるんではないでしょうか?

しかしこれは逆に言えば、過去や未来ではなく「今」。そしてどうしようとあれこれ考えず、「シンプル」なことに集中すれば良いということです。これらを可能にするのがキューワードです。選び方のコツは短く、的確に。人間は一度にいくつのことも考えられません。それを逆にうまく活用します。

ちなみに私がいつも使うキューワードはまず「今、目の前の重量のみに集中しろ」。スタートポジションが取れたら、「真っすぐ肩を引き上げろ」というものです。これらはもちろん今後変わるかもしれませんが、今のところ一番うまくいくキューワードです。

皆さんも自分に最適なキューワードを見つけてみてください。

 


上に紹介した プレ・パフォーマンス ルーティン と、キューワード活用して、少しでも試合でのパフォーマンスが上がればうれしく思います。他にもウエイトリフティングに活用できる心理学のテクニックは多くあるので、またご紹介できればと思います。

それでは、長々と取り留めもない文章を読んで下さりありがとうございました。

 


追記:

ルーティンにしてもキューワードにしても、自分に最適なものを見つけるのはそれほど大変ではありませんが、他人に最適なものを見つけるのは本当に難しく、時間がかかります。しかし、すばらしいコーチというのは常に自分のアスリートを観察し、状況に応じてすぐに最適なキューワードなどを見つけます。そうなるためにも、今以上の「知識」と、観察する「目」が必要だと感じる今日この頃です。。

 


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